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【タイトル】
迷路

==========ここから本編==========


町はずれにあった古びたアトラクション施設。

俺はそれを見た時、ささいな好奇心が芽生えた。

閉鎖された門を乗り越え、施設の領域に踏み行った。


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「すげえボロいな……。」


いつ頃、閉鎖されたのだろうか。

どの遊具も錆びていて、デザインも古めかしい。

そんな中、存在感のある建物が目の前に現れた。


迷路だ。


看板に「巨大迷路」と書かれているが、外から見る限り、巨大とは呼べそうにない。
しかし他に楽しめそうな遊具もない。

小さくため息を吐くと、俺は「巨大迷路」の看板をくぐった。


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ライターに火をつけて中を照らす。
迷路は予想通り、見た目ほど大きくないようだった。
とても簡素な造りで、無機質な壁が続いている。


「これじゃ退屈しのぎにもならないな……」


俺はそう思いつつ、先に進んだ。


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迷路に入って30分は経っただろうか。
どうにも、出口が見えてこない。

たしかに分かれ道はいくつかあった。
しかし間違いだと気づいたら、すぐに分かれ道に戻ることが出来る。
間違いの道からさらに分かれてはいなかった。
これでは迷いようがない。

奇妙だ。
なぜ、抜けだせないのか。


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1時間は経っただろうか。
歩き続けるが、一向に出口が見えてこない。
俺は床に腰を落とした。

ポケットからタバコを取り出し、一服する。
暗闇に煙の筋が昇る。

この奇妙な迷路をどうするか。
それをぼんやりと考える。

1本目を吸い終わり、2本目に手を伸ばす。
しかしライターのオイルが切れたのか、火がつかなくなった。


「くそっ!!」


疲れていたこともあって、苛立った俺はライターを地面にたたきつけた。
タバコを踏み消し、再び歩き出す。


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何時間経っただろうか。
明かりを失った俺は壁伝いに歩き続ける。

壁を壊すことも考えた。
しかし全然壊れる気配が無かった。

出口を目指すしかない。そう感じた。


ふと、足元に違和感があった。
俺は立ち止まり、その原因を探るために屈み、手を伸ばす。


それは、俺が投げ捨てたライターだった。


完


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作者:日陰

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※この台本は予告なく改変、削除する可能性があります。

サイト掲載日:H25年10月12日

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